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陰謀論で家族分裂 「母親が議事堂乱入」ある女性の苦悩

Qアノン信奉者の母親が、コロナ禍でのマスク着用を揶揄して投稿した自撮り写真(一部画像処理)=カグナソラさん提供
Qアノン信奉者の母親が、コロナ禍でのマスク着用を揶揄して投稿した自撮り写真(一部画像処理)=カグナソラさん提供

 世界は「ディープステート(闇の政府)」に操られている-。米国では大統領選や新型コロナウイルスの流行を背景に過激な陰謀論が広まり、根拠不明な情報を信じる家族や友人との関係が悪化するケースが続出している。SNS(会員制交流サイト)の支援グループのページには約14万人が参加し、陰謀論にのめり込んだ家族らを救おうとする人々が葛藤や悩みを日々訴えている。(ニューヨーク 上塚真由)

 

母は気づけばQアノンに

 米東部ニュージャージー州に住むジャーナリストのメアリー・エレン・カグナソラさん(25)は2016年の大統領選の直後、母親(53)が陰謀論に傾倒していると知った。

 家族でだんらん中に、父親が「お母さんは『ピザゲート』を信じている」と漏らしたのだ。「ピザゲート」とは、米首都ワシントン市内にあるピザ店を根城に、クリントン元国務長官の陣営が児童の人身売買に関わっているという偽の情報。トランプ前大統領を支持し、ともに闇の政府と戦うと信じる「Qアノン」信者の間で広まり、16年12月には、この陰謀論を信じた男が実際にピザ店に発砲する事件も起きた。