防研が東アジア戦略概観 コロナで「新冷戦」拡大、中国に警戒感

 防衛省のシンクタンク・防衛研究所は26日、昨年1年間の日本周辺の安全保障環境を分析した「東アジア戦略概観2021」を発表した。新型コロナウイルスの流行が米中関係をさらなる対立へと向かわせ、「新冷戦」とも呼ばれる大国間競争を拡大させているとの見方を示し、中国による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での挑戦的行動に強い警戒感を示した。北朝鮮による韓国への脅しや揺さぶりについても言及した。

 新型コロナをめぐっては、米国のトランプ前政権が中国が初動対応を誤ったとして「責任を取らせる」と非難した。一方で、中国は発生地は確定しておらず、米国の指摘は「責任転嫁だ」と応酬した。

 戦略概観はこうした状況を踏まえ、「新型コロナ危機が米中の新たな対立点を生んでいる」と分析。米国との対立激化に加え、オーストラリアや欧州でも対中認識が悪化していった現状を「『新冷戦』へ向かう中国」と指摘している。