劇場型半島

海洋放出は「第二の侵略だ」 韓国で再燃した“反日”悪循環

13日、ソウルの在韓国日本大使館周辺で、福島第1原発処理水の海洋放出に反対する環境団体。菅義偉首相の面を付けた人物が真っ黒な水を垂れ流すパフォーマンスをしている(共同)
13日、ソウルの在韓国日本大使館周辺で、福島第1原発処理水の海洋放出に反対する環境団体。菅義偉首相の面を付けた人物が真っ黒な水を垂れ流すパフォーマンスをしている(共同)

 韓国で日本政府による東京電力福島第1原発処理水の海洋放出決定に対する反発が収まらない。市民団体や与野党議員らが競い合うように激しい言葉で決定を非難し、専門家の冷静な分析はかき消される。過去にもあった“負の反日スパイラル”の悪循環に陥っている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も国際海洋法裁判所への提訴検討を指示する強硬姿勢を示し、対日外交を一層、隘路(あいろ)に追い込んでいる。(ソウル 桜井紀雄)

「全人類への核攻撃」

 「汚染水の海洋放出は、第二の壬辰倭乱だ。全国民が義兵(義勇兵)となり、決死の覚悟で日本政府に立ち向かわなければならない」

 韓国南部、釜山市にある日本総領事館前で14日、同市機張(キジャン)郡のトップがこう抗議し、放出決定の撤回を求める意見書を総領事館に手渡した。壬辰倭乱とは、豊臣秀吉による1590年代の朝鮮出兵を指す。

 日本海に面した韓国各自治体の反発は強く、南東部の蔚山(ウルサン)の市議会は「海に劇毒物を注ぎ込む汚染水放出は、日本のもう一つの朝鮮半島侵略に他ならない」と批判した。

 新型コロナウイルスの防疫を名目にソウル中心部でのデモは規制されているにもかからず、日本大使館前では各種市民団体が記者会見と称して、日本の決定を「核テロ」などと非難する事実上のデモが連日行われている。

 今回の問題では、一部の団体に限らず、一般国民の拒否反応も強い。メディアがグラフィックなどを用いてあたかも放射性物質まみれの「汚染水」が早晩、韓国近海に到達するようなニュースを繰り返し流していることも影響しているようだ。