慰安婦訴訟却下も対日関係好転は期待できず 韓国

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の裁判所は21日、元慰安婦らの日本政府に対する賠償請求を却下した。日本への賠償命令が相次ぐことで、日韓関係の改善に意欲をみせる文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対日外交が破綻の危機に陥るのを一時回避させた形だ。ただ、文氏は関係悪化の根源となったいわゆる徴用工訴訟問題の抜本的な解決策を示していないなど、残る任期が約1年に迫る中で、対日関係の劇的な好転を期待できる状況にはない。

 ソウル中央地裁の21日の判決は、主権国家の行為は外国の裁判で裁かれないとの原則に例外を認めると、「外交的衝突が不可避だ」と指摘するなど、対日外交への配慮を随所ににじませた。