アメリカを読む

宣伝戦・場外戦のすえ決着したアマゾン労組 設立失敗もくすぶる火種

 米ネット通販大手アマゾン・コムの南部アラバマ州の物流拠点で、一部従業員らが労働組合結成を目指した運動は、従業員による投票が反対多数となり失敗に終わった。アマゾンと組合設立を目指すグループが投票前、水面下でともに激しく宣伝合戦を展開。バイデン米大統領ら政界関係者も巻き込み、注目を集めた。巨大IT企業を舞台にした労働運動の火種は、経済格差の問題を背景に、今後もくすぶり続けるとみられる。(ワシントン 塩原永久)

 「アマゾンの労働条件が妥当だと認められた訳ではない」

 アマゾンのアラバマ拠点で労組結成を主導した小売業界の労組「RWDSU」の代表者は9日、組合設立の是非を問う従業員投票が反対多数となったのを受けて、そうくぎを刺した。

 人口3万人に満たないアラバマ州中部の小さな街、ベセマーで起きた組合設立運動が全米の関心を引き寄せたのは、これまで本格的な労組の結成例が知られていない「GAFA(ガーファ)」(=グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の米IT4社での労働運動だったためだ。