久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

慰安婦訴訟、逆転判決の裏にライダイハンと政権への忖度

21日、ソウル中央地裁での判決後、記者団の取材に応じる元慰安婦の李容洙さん(共同)
21日、ソウル中央地裁での判決後、記者団の取材に応じる元慰安婦の李容洙さん(共同)

 韓国人元慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は21日、原告の訴えを却下した。同種の訴訟では今年1月、原告が勝訴していたのに、司法の判断はなぜ覆ったのか。争点は、国家の行為は他国の裁判所で裁かれないという国際慣習法上の「主権免除」についての判断だった。逆転の背景には、慰安婦問題を「主権免除の例外」とした最初の判決に相当な無理があったことに加え、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこの判決に「困惑した」と苦言を呈したことで司法が政治の風向きを読んだことがある。さらに、戦時下の性暴力で韓国がベトナムから訴えられる懸念があったことも大きい。

ベトナム戦争時の人権侵害「ライダイハン問題」

 韓国には自国兵が加害者となった戦時下の女性虐待問題として、ベトナム戦争時の現地女性への強姦殺害、性的暴行がある。韓国はベトナムに「猛虎師団」「青竜師団」などを派兵したが、村落の焼き打ちなど民間人への残虐行為を行ったことが韓国史の汚点となっている。なかでもベトナム人女性の慰安婦らとの間に生まれた子供をそのまま置き去りにした「ライダイハン(ベトナム語で『韓国人との混血』の意)問題」は現在も進行形で、取り残された子供の数は少なくとも5000人、最大では3万人に上るとされている。