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議会主義に限界感? 旧ソ連諸国で政権支配強化の動き

 ロシアやベラルーシなど権威主義国や独裁国が居並ぶ旧ソ連圏において、議会主義が機能し比較的民主的とされてきた国々で最近、政権が自らの権限を強めようとする動きが相次いでいる。中央アジアのキルギスは今月、議会共和制から大統領制に移行させる政治改革を実施。南カフカス地方のアルメニアや東欧のモルドバでも、政権による“議会軽視”が問題化した。背景について、旧ソ連諸国は歴史的に欧米型の議会主義になじみが浅く、政治体制の運営に矛盾が生じてきたためだとする分析が出ている。(モスクワ 小野田雄一)

キルギスが大統領制に移行

 「政治の移行期間は終わった。新憲法により、あらゆる責任が国家のトップ(大統領)にかかる。新憲法の制定は国家秩序の強化と発展を保証する」

 キルギス大統領府によると、同国のジャパロフ大統領は13日、欧州安全保障協力機構(OSCE)の代表との会談でこう述べ、政治改革の意義を強調した。

 キルギスでは昨年10月の議会選で、中央選管がジェエンベコフ大統領(当時)に近い与党側の圧勝を発表。選挙の不正を主張する野党勢力が政府庁舎を占拠するなど政変に発展した。ジェエンベコフ氏は辞任し、野党勢力の有力者、ジャパロフ氏が実権を掌握した。