アジアの視線

中国の圧力に直面、「老朽潜水艦」手放せなかったインドネシア 森浩

行方不明になったインドネシアの潜水艦「KRIナンガラ」=2012年(インドネシア海軍提供・共同)
行方不明になったインドネシアの潜水艦「KRIナンガラ」=2012年(インドネシア海軍提供・共同)

 「沈黙の軍隊」。海底を深く静かに潜航する潜水艦を指す言葉だ。潜水艦が持つ、海上から探知されにくい特性は敵国にとって脅威であり、平時には海洋での軍事的な抑止力にもつながる。シンガポールメディアのCNAは「(潜水艦は)弱小国の軍隊にとって、強力な敵への対抗手段だ」と指摘したが、確かにその通りだろう。

 東南アジアの中でもインドネシアは1万3000以上の島を抱え、南シナ海やインド洋に面し、潜水艦の有用性は特に高い。そんな海洋国家で、魚雷発射訓練に臨もうとしていた同国潜水艦「KRIナンガラ402」が沈没した。乗組員53人全員の死亡が認定された痛ましい事故だ。海軍は事故の原因を「人為ミスではなく、自然的なものだ」と説明しており、老朽化を指摘する専門家は少なくない。

 沈没した潜水艦は1978年にドイツで建造され、81年にインドネシアに引き渡された。2010年代に入って韓国での修理歴はあったものの、就役40年の“老朽艦”であることには間違いないだろう。