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警官が年1000人を射殺 「一瞬の判断」論争に実態把握の壁

3月29日、米中西部イリノイ州シカゴ市で、追跡中に射殺した13歳の少年の心肺蘇生を試みる警官らの映像(AP)
3月29日、米中西部イリノイ州シカゴ市で、追跡中に射殺した13歳の少年の心肺蘇生を試みる警官らの映像(AP)

 米国では、黒人男性ジョージ・フロイドさんを死亡させた白人の元警官の裁判の審理期間中、警官による射殺事案が相次ぎ、警察改革を求める声がさらに強まった。警官による射殺は毎年約1000人に上る。警官の「安易な」発砲の背景には、緊急対応時の「一瞬の判断」は警官に任せるという連邦最高裁判例があるとされる。地方警察が不適切事案を連邦捜査局(FBI)に報告する義務がなく実態把握が進まないことも要因の一つとされるが、警察改革をめぐっては党派対立もあり、解決は容易ではない。(ニューヨーク 平田雄介)

 フロイドさん事件の本格審理は3月29日に始まり4月21日に終了。白人の元警官デレク・ショービン被告に有罪評決が下された。非営利団体「銃暴力アーカイブ」の集計によると、この審理期間中のわずか22日の間にも、全米で103人が警官に射殺された。この中には、中西部イリノイ州シカゴ市で死亡した13歳の少年アダム・トレドさんや、中西部オハイオ州コロンバス市で亡くなった16歳の黒人少女マカイア・ブライアントさんら10代の犠牲者も含まれる。

 警官による少年少女の射殺は、単に痛ましいだけでなく、容疑者射殺もやむなしといえる明白な状況を除けば、彼らに裁判を受けさせて更生を促す最初の道筋を担うという警察の役割を適切に果たせなかった「不祥事」だとすらいえる。