日々是世界 国際情勢分析

陰る「日本研究」の灯、中国研究は存在感 背景に資金・ポスト不足

 エドウィン・ライシャワーやエズラ・ボーゲル-。各国の対日政策に多大な影響を与えてきた日本研究者が近年、米国などで減少傾向にある。国際社会における日本の相対的な影響力低下や、日本からの官民を通じた研究者への資金協力が細っていることが背景に挙げられる。一方、国際社会で勢いを増す中国の研究者は急増している。日本研究者の厚みは日本の外交と国益にも資するだけに、識者は「政府は、海外での日本通の人材育成を真剣に議論すべきだ」と訴える。

日本研究は死んだ?

 「日本研究の死」

 2019年3月、米国の学術団体「アジア研究協会」の会議で、衝撃のタイトルが掲げられた。実際に、米国や欧州で日本研究が急速に衰退しているとの報告があり、関係者を驚かせた。翌20年の題目も「日本研究の再生」で、研究の勢いが衰えたとの前提で議論が進んだ。

 米スタンフォード大アジア太平洋研究センター・ジャパンプログラム所長、筒井清輝教授は「1990年代、有名大学に数人はいた社会科学の日本研究者が姿を消している。メディアに出る日本通教授の顔触れも十数年前と変わらない」と頭を抱える。

 名門の同大でもその傾向は顕著で、同センターの中国研究の教授は7人、韓国が4人なのに対し、日本は日本人である筒井氏1人だけ。カリフォルニア大やミシガン大など他の名門大でも、同様の現象がみられるようだ。