揺らぐ覇権

覚醒した大国の野望 ワクチンで終わらぬ危機

利用客で混雑する中国江蘇省南京市の鉄道駅=1日(共同)
利用客で混雑する中国江蘇省南京市の鉄道駅=1日(共同)

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束の気配を見せない中、マスクなしで外出できるようになったことを自慢する中国。58万人という世界一の死者を出しつつも、今ではマスク姿の人が一気に減った米国。これらは、主要都市圏の緊急事態宣言が延長され、健全な経済活動もままならない日本の現状とはまるで異なる。加えて、働き盛り世代のワクチン接種がいつになるかさえ見通しが立たず、日本経済はその間ひたすら耐えるしかない。こうした惨状下にあるにもかかわらず、いまだ五輪開催に固執する政府。この国の指導者は一体どこを向いているのだろうか。

 今回のコロナ禍は、戦後日本にとって最大級の試練の一つだ。しかしコロナの感染拡大が始まった当時、政府は対岸の火事という意識で臨み、発生源の中国からの人の流れを早期に食い止める措置を取らなかった。そして、感染者が急増する中、ヒト・モノ・カネを大量に投じて適切な対策を素早く講じなかった。そのため、国産ワクチンの開発は間に合わず-これ自体が敗北だ-現在の危機からいつ抜け出せるのかも見えてこない。