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陰る米との蜜月に危機感募らせるイスラエル 中東支局長 佐藤貴生

 国際報道に携わっていると、歴史的な転換点に立ち会うことがある。トランプ前米政権がエルサレムをイスラエルの首都だと認定し、同国の建国70年に当たる2018年5月14日、米大使館を西部の商都テルアビブからエルサレムに移転したときもそうだった。

 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地がひしめくエルサレム東部は、イスラエルがアラブ諸国との第3次中東戦争(1967年)で占領、実効支配してきた。しかし、その帰属は未画定だというのが大半の国の立場だ。国連を含む国際社会はエルサレム東部を首都にパレスチナ独立国家を建設、イスラエルと共存させる案を支持してきた。

 常識を覆すエルサレムの首都認定と大使館移転は、公職経験や軍歴がないトランプ氏だからできた決断だ。イスラエルのネタニヤフ首相は「最高の友人だ」と称賛を惜しまなかった。

 しかし、米大使館移転から3年となる現在、両国の蜜月に陰りが生じている。米大統領は政治経験豊富なバイデン氏に交代し、イスラム教シーア派の政教一致国家イランへの立場の隔たりが目立ってきた。