びっくりサイエンス

鉄道にも影響与えた地磁気観測所 100年の歴史と創意工夫

気象庁の地磁気観測所で50年近く使用されている観測装置の一つ=茨城県石岡市
気象庁の地磁気観測所で50年近く使用されている観測装置の一つ=茨城県石岡市

 私たちが暮らす地球は磁石の性質を持っている。方位磁針(コンパス)が北を向くのはこのためだが、地球の磁力の向きや強さは一定ではない。茨城県石岡市にある気象庁の地磁気観測所は、100年を超える歴史を持つ世界有数の拠点として知られ、手間のかかる観測を続けてきた。普段は目立たないが、実は意外なところで首都圏の生活にも影響を与えている。

方位磁針は真北を指さず

 地磁気は、地球内部のマントルよりも深い「外核」という領域で生じている。外核では鉄やニッケルなどが溶けて緩やかに対流しており、その結果生じる電流が磁力を生み出す。