眠れぬ墓標

特別編 絶海の硫黄島(5)覚悟 遺骨帰還 変わらぬ責務

 2月、東京・千鳥ケ淵で営まれた平成22年度硫黄島戦没者の遺骨引渡式。政府特命チームリーダーの衆院議員、阿久津幸彦(54)は、感慨を持って参列していた。

 「野党時代から考えていた戦没者の遺骨収容に取り組みたい」「硫黄島には、集団埋葬地があるのではないか」。当時首相補佐官だった阿久津ら2人に、首相の菅直人が特命チームの設置構想を切り出したのは、22年7月だった。

 東京都知事の石原慎太郎の衆院議員時代に秘書をしていた阿久津は、過去の遺骨引渡式で国会議員が誰も出席していなかったことに忸怩(じくじ)たる思いがあった。「じゃあ君だ」。菅の一言でリーダーに決まった。

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