眠れぬ墓標

第3部 極限のシベリア(1)抑留 「北海道割譲に代わり生け贄」

現地で営まれた追悼式で、亡き仲間に呼びかける荒木正則さん=平成22年8月、ロシア・エボロン
現地で営まれた追悼式で、亡き仲間に呼びかける荒木正則さん=平成22年8月、ロシア・エボロン

 日本から約2千キロ離れたロシア・ハバロフスク州のエボロン。広大なユーラシア大陸を横断するシベリア鉄道の支線、バム鉄道沿いにあるロシア東部の小村だ。今年8月、荒木正則(86)=大阪府河内長野市=は、政府遺骨収集団の一員としてこの地を踏みしめた。

 終戦後の約3年間、シベリアに抑留された荒木は、平成15年からほぼ毎年、遺骨収集に参加してきた。高齢のため、本当は昨年限りでやめようと思っていたが「今年はエボロンと聞いて、何が何でも行きたかった」。この辺りは、まさに荒木が過酷な強制労働に従事した場所だった。

 総勢約20人のメンバーとともに、雑木林で土を掘り進める。遺骨の一部が見え、「よし、おれが入る」と声を上げた。小型のくま手で穴の土をかき分け、一つずつ遺骨を取り出す。

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