眠れぬ墓標

第3部 極限のシベリア(4)謀略 「ソ連は日本人を知っていた」

 昭和24年春、ハバロフスク市内の収容所から監獄に移された元関東軍少佐、山本明(91)=兵庫県芦屋市。しばらくは毎夜寝ているところをたたき起こされ、取調室に連れて行かれた。室内にはぽつんと机があり、炎のついたろうそくが1本だけ置かれている。入るたびに、空疎な光景にぞっとした。

 取り調べでは、満州(中国東北部)での任務について繰り返し聴かれた。山本は50人以上の部下を率い、無線傍受などソ連軍の動きを探る任務に就いていた。

 薄暗い室内で向かい合った取調官は、しきりに引き出しから拳銃を出し入れする。「こちらの心理状態を巧みに突いてきた」

 ソ連側はなぜか、満州での動向を事前に把握していた。「われわれは徹底抗戦する」。朝礼で訓示した言葉までも知っていた。

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