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第2部 子供たちへ(5)世界に目を向ける 日本人の誇り、五輪に学ぶ

習字に挑戦する駐日欧州連合代表部のリチャード・ケルナー=2月3日、東京都板橋区の高島第六小学校 (松本健吾撮影)
習字に挑戦する駐日欧州連合代表部のリチャード・ケルナー=2月3日、東京都板橋区の高島第六小学校 (松本健吾撮影)

 1964年の東京五輪では、子供らが日本人選手の活躍に熱狂し、心には自然と「日本人としての自信と誇り」が育まれた。

 五輪の勝者が国旗を掲げ、誇らしげに国歌を歌う姿は、淡泊ともいわれる今の子供にどう映るだろうか。

 熊本県山都町(やまとちょう)。この深い山々に囲まれた町に育った一人の少年は、中学2年生のとき、「将来の夢」という作文にこうつづった。

 「大好きな柔道で将来オリンピックに出たい。メインポールに日の丸を仰ぎ見ながら君が代を聞きたい」

 13年後、夢を夢に終わらせず、実現させたのが1984年のロサンゼルス五輪柔道男子金メダリスト、山下泰裕(62)だ。作文で金メダルを取りたいではなく「君が代を聞きたい」と書いた山下だが、その原点は小学1年生で迎えた64年の東京五輪にある。

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