山梨の「手作りマスク少女」 家庭がはぐくんだ道徳心 新型コロナ対策で困っている人のために

心を込めてマスクを作る滝本妃さん=甲府市(渡辺浩撮影)
心を込めてマスクを作る滝本妃さん=甲府市(渡辺浩撮影)

 「私がマスクを作ればいい。作れるかなあ」。娘の問い掛けに、母は「作れるよ」と答えた-。新型コロナウイルスの感染拡大でマスクが不足する中、手作りの612枚を山梨県に贈った甲府市の山梨大付属中1年、滝本妃(ひめ)さん(13)の善行に全国で称賛の声が上がっている。この子を育てた滝本家の教育方針は「感謝」と「助け合い」だ。(渡辺浩)

材料費はお年玉

 2月中旬のことだった。自宅から1キロほど離れたドラッグストアに母の運転する車で出かけた妃さんは、途方に暮れる高齢女性を見かけた。「ここにもマスクないんですか…」と店員に話し掛けていた。

 帰りの車で妃さんは「私がマスクを持っていたら、あげたかった」「家にいっぱいあったら、困っている人に寄付するのに」と言ったまま黙り込んでしまった。

 しばらくして、「布マスクがあるじゃん」と叫んだ。「作れるかなあ」と聞くと、母は「作れるよ。教えるよ」と励ました。