奈良のシカを守る「鹿紙」開発 食べても害少なく

「鹿紙」で作ったA4サイズの紙袋
「鹿紙」で作ったA4サイズの紙袋

 奈良市の奈良公園周辺にいる国の天然記念物「奈良のシカ」が異物を誤飲して死ぬケースが相次いでいることを受け、奈良県内の企業3社が協力し、シカが食べても害が少ない紙を共同開発した。シカが観光客らがポイ捨てしたポリ袋やパンフレットを餌と勘違いして食べてしまうことは以前から問題となっており、3社はこの紙を使ってまず紙袋を製作し、近隣の土産物店などで使ってもらうよう働きかけている。

(桑島浩任)

 シカが食べても害が少ない通称「鹿紙(しかがみ)」は、牛乳パックの再生パルプに鹿せんべいの原料にも使われる米ぬかを配合して作る。環境に優しい大豆インクで印刷し、コーティング剤などは使用しない。食品分析試験では、有害物質が含まれていないことが確認されたという。化粧品企画販売業「ならイズム」(奈良県田原本町)と紙器製造の「ナカムラ」(同)、印刷デザインの「文洋堂」(同県桜井市)の3社が協力して開発した。捨てられたごみを食べて死ぬシカの存在を知ったことがきっかけだった。