日本の論点

青森 国策に揺れた「核燃の村」は今

日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=4月、青森県六ケ所村
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=4月、青森県六ケ所村

 資源小国のわが国にとって大きな一歩といっても過言ではない。日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の審査書案が5月13日、原子力規制委員会で了承され、事実上の「合格」となった。今後、正式合格に向けて、いくつかの手続きが残されているとはいえ、平成5年の着工から四半世紀の歳月を経て完成が見えてきた意義は大きい。一方で、これまでの道程は国策に翻弄(ほんろう)されながら核燃施設と共存共栄してきた村の歴史そのものとも言える。

 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理し、再び燃料として使えるようにする同工場は、国が進める核燃料サイクル政策の中核施設として位置付けられる。純国産のエネルギーが確立されることは、電力安定供給の観点から非常に意味は大きい。

 当初は9年に完成予定だったが、トラブルが相次ぎ工程の見直しは24回に及んだ。しかもこの間、東京電力福島第1原発事故の影響で、原発関連施設に対して世界一厳しいとされる新たな安全基準が規制委によって示され、審査会合も100回を超えた。村民の間からは、原燃の安全に対する意識の甘さに辛辣(しんらつ)な言葉が投げ掛けられる一方で、遅々として進まない規制委の審査に対しても「まるで重箱の隅をつついているようだ」と揶揄(やゆ)する声も。

 事実上の合格とはいえ今後、経産相の意見聴取や安全対策工事に必要な認可などがあり原燃が目指す同工場の令和3年度上期の完成は見直しが不可避の情勢だ。原燃、規制委には改めてスピーディーな対応を求めたい。

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