
新型コロナウイルスの感染拡大は、科学研究の在り方にも多くの課題を突き付けた。ノーベル医学・生理学賞の受賞者で東京工業大栄誉教授の大隅良典氏(75)は、微生物の研究や社会的な理解が不足していたと指摘し、「日本はもっと基礎研究を大切にすべきだ」と訴えた。
「知識の土台が欠けていた」
--新型コロナは人類に何をもたらしたか「あらゆる人間生活に影響し、改めて生き方が問われた。都市への人口集中や職場環境、教育制度など、議論が煮詰まっていない問題が、いかに多いかも露呈した。これらの課題を真剣に見渡し、きちんと考え直す契機とすべきだ。科学研究も、社会から独立して存在するものではなく、あくまで大きな社会活動の一つなので影響が大きかった。人の移動や施設への立ち入りが制限され、全世界の研究活動がほとんどストップした。科学者も社会の一員であることを、強く思い知らされた」