
月が誕生したシナリオが見直しを迫られそうだ。月は地球に小天体が衝突した際に生まれたとする「巨大衝突説」が定説になっているが、このときの超高温で燃え尽きたはずの炭素が、今も月に大量に存在することを大阪大などのチームが突き止めた。日本の探査機「かぐや」の成果が月誕生の謎に一石を投じている。
火星ほどの天体が地球に衝突
月は地球から38万キロ離れた軌道を周回する衛星だ。大気はほとんどない。太陽系の惑星にある衛星の多くは、惑星と比べ直径は数十分の1以下、重さも数千分の1以下だが、月は地球に比べ直径は約4分の1、重さは約80分の1と極めて大きい。