コロナ 知は語る

江戸時代に学ぶ 社会の底力 日本文学研究者・ロバート・キャンベル氏

インタビューに答える国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長
インタビューに答える国文学研究資料館のロバート・キャンベル館長

テレワークは革命的。若い人に起業のチャンス

 人類はずっと感染症と闘ってきた。日本文学研究者のロバート・キャンベル氏は、疫病が流行した200年前の江戸の人々と、新型コロナウイルスと闘う今の人々との間に「社会全体で乗り越える」という共通点を見いだす。感染症を克服した先にある起業のチャンスについても考察した。

 ■200年前と同じ状況

 --日本には感染症に関する文献が多く残っている

 「日本人は感染症とともに歩んできた。小説家の式亭三馬は、享和3(1803)年に江戸を襲ったはしかをテーマにした小説『麻疹戯言(ましんきげん)』で『(感染者が)飲むもの食べるもの、全部味がしない。ひとりぼっちで体調が回復するまで、12日間を指折って布団の中で待つ以外ない』と書いた。文政7(1824)年に再流行した際に書かれた『麻疹●(せん)語』には、店などを営業停止した江戸の様子や、客が来ず生活できない人々の嘆きも記されている。200年前の日本人が、驚くほど今と同じ状況に直面していたことがわかる」