クローズアップ科学

コロナ論文、迅速公開と信頼確保で揺れる科学界

撤回された医学誌ランセット(右)とニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの論文。「RETRACTED(撤回)」と追記されている(松田麻希撮影)
撤回された医学誌ランセット(右)とニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの論文。「RETRACTED(撤回)」と追記されている(松田麻希撮影)

 新型コロナウイルスに関連する研究の論文やデータをインターネット上で迅速に公開する動きが広がっている。早期に知見を共有することで、感染症のメカニズムの解明や治療法の開発を進めるのが狙いだが、不正確な論文が公開される課題も見えてきた。速さと信頼性をどう両立するか、科学界は難しい対応を迫られている。

査読なしで早期に論文公開

 英医学誌のランセットなどを出版するエルゼビアや、英科学誌ネイチャーを傘下に擁するシュプリンガー・ネイチャーなどは、新型コロナに関する特設サイトを作り、関連論文やデータベースを無料公開している。エルゼビアは早くも1月にサイトを立ち上げ、2500以上の雑誌から約3万7000本以上の関連論文を公開。同社は、コロナの理解と根絶に向けて研究者を支援することは「商業的な目的を超えた、市民として社会的な責務」だとしている。