明智光秀は本当に謀反者だったのか 戦後歴史学に異議あり! 宮崎正弘

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で明智光秀という人物が改めて注目されている。京阪電気鉄道は京阪石山坂本線でラッピング電車を運行=2月21日、滋賀県大津市
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で明智光秀という人物が改めて注目されている。京阪電気鉄道は京阪石山坂本線でラッピング電車を運行=2月21日、滋賀県大津市

 明智光秀がNHK大河ドラマの主人公、じつに画期的な「事件」だ。

 今月30日に放送再開される「麒麟がくる」では、光秀がいかに描かれるのか。光秀は、これまで「主殺し」「謀反者」という評価しかなく、英雄とはおよそ無縁の武将として過小評価されてきた。その最大の理由は、豊臣秀吉が右筆たちに命じて明智光秀を極悪人と描く情報操作を展開した結果、徹底的に誤解されてきたためだとわたしは考える。

評論家の宮崎正弘氏
評論家の宮崎正弘氏

 例えば本能寺の変の後、山崎の戦いで秀吉に敗れ、落ちて行く先で百姓に竹槍で殺されたという有名なエピソードも実は確かな記録はない。わたしは、これも創作だと思う。秀吉はできるだけみっともない最期にしたかったのだ。なぜなら「主殺し」、「謀反人」の汚名を光秀に着せれば、織田信長政権を横から簒奪(さんだつ)した秀吉が、正統を名乗れるからだ。