日本の論点

山形 移住し地域を興す無印社員

 「地方創生」という政策課題が掲げられて久しいが、その後も地方では人口減少、高齢化が止まらず、中山間地の衰退が現実的な課題となっている。高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)32・9%(平成30年10月1日現在)で全国6位の山形県はまさにその典型だが、同県の山あいの集落で東京の民間企業が地元自治体と地域活性化に向け新しい取り組みを始めた。

 東北を代表する名峰、鳥海山。その麓の緑豊かな田園地帯、山形県酒田市の八幡(やわた)地域(旧八幡町)を1台の軽トラックが走る。荷台には「無印良品」とある。牧歌的なBGMを流しながら八幡地域の最奥部、北青沢で停車すると、1人の若い女性が降りてきた。3月末に東京からこの地に移住した松本菜乃花(なのか)さんだ。