
今年のノーベル物理学賞は、ブラックホールの存在を理論と観測によって証明した3氏に贈られることが決まった。謎に包まれた天体の研究を大きく前進させ、日本などの国際チームがその姿をとらえた世界初の成果に道筋を付けた。撮影チームにも近い将来、受賞の期待がかかる。
ブラックホールは極めて大きい重力を持つ高密度の天体で、周囲のあらゆるものを引き付けてのみ込む。宇宙で最も速い秒速30万キロの光すら脱出できないため、宇宙空間にぽっかりと空いた「黒い穴」のように見える。
その存在はすでに18世紀の終わりに英国などの科学者が予言していたとされる。1916年にアインシュタインが重力によって時間と空間がゆがむことを示す一般相対性理論を完成させたことで、より具体的に予想されるようになった。だが、それはあくまで数学上の解に過ぎず、アインシュタインですらブラックホールが実在する可能性については懐疑的だった。