クローズアップ科学

ノーベル賞のゲノム編集 原点に日本人の発見

ゲノムを構成するDNAの塩基配列の模式図(米国立ヒトゲノム研究所提供)
ゲノムを構成するDNAの塩基配列の模式図(米国立ヒトゲノム研究所提供)

 今年のノーベル化学賞は、生物のゲノム(全遺伝情報)を自在に改変できるゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を発明した欧米の2氏に贈られることが決まった。農作物の効率的な品種改良や病気の遺伝子治療の可能性を開き、生命科学に革新をもたらした。その原点となったのは日本人研究者の発見だった。

 生物の遺伝情報は、ゲノムを構成するDNAに鎖のように並ぶ塩基という物質の配列で記されている。その一部を切り取ったり、別の配列を張り付けたりして情報を改変するのがゲノム編集という技術だ。

 基礎的な研究は1970年代に始まり、当時は遺伝子組み換え技術と呼ばれていた。改変する場所は偶然に頼っていたため不正確で、多くの手間がかかったが、2012年に登場したクリスパー・キャス9は、狙った場所を高精度で迅速に改変できる画期的なものだった。