西論プラス

南海トラフ地震は2030年代にやって来る 編集委員・北村理

 平成7年阪神大震災の被災地から毎年発信される遺族のメッセージには「次の災害に教訓を生かしてほしい…」という文言が目立つようになった。

 3月に10年となる東日本大震災の被災者との交流をきっかけに、その傾向は顕著になったように感じる。

 阪神大震災から時間がたてばたつほど南海トラフ地震の発生が迫りつつある。そのあらがいようのない事実に向きあうべきだと、遺族らは自らの体験に根差した心の叫びとして伝えてくれているのだ。

国難級の大災害

 南海トラフ地震は、静岡沖、紀伊半島沖、四国沖の3つの震源域の地震が連動する。記録上は684年から昭和の東南海、南海地震まで90~265年間隔で発生したとされる。

 東日本大震災と同様、大津波を伴うが、東日本の震源は沖合130キロだったのに対し、南海トラフ地震の震源は陸地直下ともいえる近さがゆえに、地震の揺れは強く、津波の到達時間は短いという特徴がある。

 政府は、東日本大震災と同等のマグニチュード9の「南海トラフ巨大地震」のモデルをつくり、被害想定を死者32万人、経済被害220兆円超と公表。被害をうける首都圏から九州にかけての太平洋岸は製造品出荷額の6割以上を占めており、政府は国家運営に停滞をもたらす「国難級の災害」と警戒する。