クローズアップ科学

ウイルスの起源めぐる雲南省鉱山の疑惑 「バットウーマン」が否定

武漢ウイルス研究所に到着した世界保健機関(WHO)調査団のメンバーが乗る車=3日、中国・武漢(ロイター)
武漢ウイルス研究所に到着した世界保健機関(WHO)調査団のメンバーが乗る車=3日、中国・武漢(ロイター)

 新型コロナウイルスの発生源に関する世界保健機関(WHO)の調査が中国・武漢で進む中で、9年前に雲南省で発生した謎の重症肺炎が改めて注目されている。新型コロナの感染を中国が隠蔽していたのではないかという疑いの目が向けられたからだ。これに対し「バットウーマン」の異名を取る武漢ウイルス研究所の女性研究者は、新型コロナとの関連を否定する論文を発表。ウイルスの起源解明は困難との見方も広がっている。(松田麻希)

9年前に謎の重症肺炎、死者も発生

 バットウーマンと呼ばれているのは、武漢ウイルス研究所の石正麗氏。重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスの起源となったコウモリのコロナウイルスを調査するなど、コウモリ由来のウイルス研究で世界的に知られており、新型コロナの起源に最も迫っている研究者の1人だ。WHOの調査団は3日、同研究所を訪問。調査団のメンバーはツイッターの投稿で、石氏を含むスタッフと意見交換したことを明らかにし、「非常に重要な会議だった」としている。

 石氏らのチームは昨年2月、著名な英科学誌ネイチャーに掲載した論文で、雲南省の鉱山の坑道にすむキクガシラコウモリから採取した「RaTG13」というコロナウイルスの遺伝子配列が、新型コロナと96・2%一致すると発表。コウモリのウイルスが新型コロナの起源だった可能性が高いことを明らかにした。