クローズアップ科学

見えてきた巨大地震の核心 宮城沖に平安時代の痕跡

 東日本大震災をもたらした巨大地震はどのようなメカニズムで起きたのか。これまでの研究で見えてきたのは、宮城県沖は巨大な地震と津波を引き起こす特別な場所だということだ。海底からは平安時代の地震の痕跡も見つかり、1000年以上も前からここが巨大地震の核心部分だったことが明らかになった。(長内洋介)

 東日本大震災の巨大地震は、海底の太平洋プレート(岩板)が陸側プレートの下に沈み込んでいる東北沖の日本海溝で起きた。プレート境界に蓄積されたひずみのエネルギーが限界に達し、強く固着していた断層が一気に滑ってマグニチュード(M)9・0の巨大地震が発生した。

 断層の滑りは岩手県沖から茨城県沖までの南北400キロ以上に及んだ。その中で特に大きく滑ったのは震源がある宮城県沖で、海底が東に50メートル以上も動いて巨大な津波を引き起こした。

 断層の大きな滑りはなぜ宮城県沖だけで、その南北には広がらなかったのか。謎を解く一つの手掛かりは「スロー地震」と呼ばれる特殊な地震の活動だ。