クローズアップ科学

「巨大地震の引き金」解明が課題 小原一成・日本地震学会長に聞く

日本地震学会の小原一成会長(伊藤壽一郎撮影)
日本地震学会の小原一成会長(伊藤壽一郎撮影)

 東日本大震災を想定できなかった教訓から、日本の地震学はこの10年で海底の地震観測が充実し、巨大地震の引き金となる恐れがある「スロー地震」という現象の研究が大きく進んだ。日本地震学会の小原一成会長は、地震研究には国民の理解と財政支援が欠かせないと指摘した。(伊藤壽一郎)

 --東日本大震災が起きたとき何を感じたか

 「当時、東北地方の太平洋沖でマグニチュード(M)9・0の巨大地震が起きるとは考えられていなかったので、非常に強い衝撃を受けた。地震が起きるとしてもせいぜいM7、8クラスだろうと多くの地震学者が信じていた。だが、それが間違っていることを突き付けられた」

 --10年が過ぎた

 「今年に入っても福島県沖や宮城県沖などで余震活動は続いており、まだ10年しかたっていないという感覚だ。大震災の影響は、これからもしばらく続くと考えている」