
安倍晋三首相は1日の産経新聞の単独インタビューで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と「条件をつけず」に会談する意向を示した。平成14年10月に拉致被害者5人が帰国して以来、北朝鮮は約17年間も拉致問題を「解決済み」などと無視し続け、1人として被害者の帰国は実現していない。首相はなぜ今、思い切ったカードを切ったのか。
「金氏と虚心坦懐(たんかい)に話し合いたい」
インタビューでこう語る首相の表情は、拉致問題の解決に向けた覚悟をうかがわせた。トランプ米大統領は拉致問題に関する首相の強い思いを受け止め、米国の協力態勢は揺るぎないものとなった。さらに被害者家族は高齢化が進み、時間との闘いは予断を許さない。首相はこうした背景や機会を捉え、今回踏み込んだ発言をしたといえる。