再出発のふるさと納税は「チキンレース」か

 ふるさと納税の新制度が6月からスタートする。過度な返礼品競争を危惧した総務省は「返礼品は地場産品」「調達費は寄付額の3割以下」などとする新ルールを制定。参加できる自治体を総務省が指定した上で、現行制度で多額の寄付を集めていた大阪府泉佐野市など4市町を除外した。節度を欠く「問題児」を退場させて事態の沈静化を図った形だが、競争を招いた原因は総務省側にもなかったのか。ふるさと納税の再出発には、十分な検証や議論がないとの声もある。

 「こういう時期にああいう対応をされることは、やはり制度の趣旨に反していると思う」。石田真敏総務相は14日の閣議後会見で不快感をにじませた。怒りの対象は、新制度から除外濃厚とされていた泉佐野市が5月から始めた新キャンペーン。返礼品に加え、インターネット通販大手「アマゾン」のギフト券を上乗せするなどして寄付金への返礼率を実質6割に引き上げることで、除外前の最後の駆け込み需要を狙ったとみられていた。