宮家邦彦のWorld Watch

政治家の評価と危機管理

新型コロナウイルスのブリーフィングに臨むトランプ米大統領=25日、ホワイトハウス(ロイター)
新型コロナウイルスのブリーフィングに臨むトランプ米大統領=25日、ホワイトハウス(ロイター)

 新型コロナウイルスとの戦いが世界各地で続く中、感染拡大防止に失敗した多くの指導者が批判されている。政治家とは、かくも報われぬ職業なのか。戦争に勝利しようが、善政を行おうが、政治家の歴史的評価はたった1度の危機管理の失敗で決まってしまう。これが古今東西、政治のおきてだ。

 米大統領も例外ではない。イラク戦争に勝利した子ブッシュの09評価は2005年ハリケーン・カトリーナ対応の不手際で地に落ちた。フーバーは1929年の大恐慌に狼狽(ろうばい)し、カーターは79年イラン革命への対応に失敗した。ウィルソンは、18年のスペイン風邪を放置した。いずれも未曽有(みぞう)の危機への対応失敗で歴史に汚名を残した例だ。

 一方、危機管理の成功で名声を上げた大統領は少ない。有名な例は、南北戦争後に合衆国の再統一を実現したリンカーンと、フーバーの後を受け大恐慌を乗り切ったF・ルーズベルトぐらいだろう。

 ルーズベルトの名言といえば「われわれが恐れるべきはわれわれ自身の恐怖」が有名だが、筆者が気に入ったのは「現在の暗い現実を否定できるのは愚かな楽観主義者だけだ」という危機管理の本質を突いた言葉だ。

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