新型コロナウイルスをめぐり、政府による国内外への情報発信という課題が浮上した。度重なる外出自粛要請にもかかわらず若者らが繁華街などへ繰り出し、物資は足りているとされるのに、スーパーでは、トイレットペーパーや食品を買いだめようと行列ができた。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応では海外から批判も浴びた。一方、情報を受け取る側も正しいものを得る努力が必要だ。政府と国民が結束して「情報戦」に当たるべきではないか。
「政府は、国民に対する正確で分かりやすく、かつ状況の変化に即応した情報提供や呼びかけを行い、行動変容に資する啓発を進めるとともに、冷静な対応をお願いする」
政府は、3月28日に新型コロナへの対応の指針を定めた「基本的対処方針」を決定し、重要事項の最初の項目に「情報提供・共有」を掲げ、こう記した。
トップに持ってきたのは、うまくいっていないことの裏返しともいえるだろう。3月20~22日の3連休には東京都内の公園に花見客が押し寄せた。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は26日、小池百合子都知事の花見での宴会自粛要請を「公衆は今のところ真剣に受け止めていない」などと報じ、地下鉄が混雑していることも疑問視した。現職閣僚は「緩みが心配だ」とつぶやいた。