耳目の門

(19)石井聡 政治とコロナ 国民の命守るハラはあるか

 ニュージーランド在住の日本人男性のブログに目が留まった。新型コロナウイルスの感染拡大で、小池百合子東京都知事が「ロックダウン(都市封鎖)」への懸念を言い出した時期に書かれた記事だ。

 ◆貧乏くじと同じ

 「危機対応とは本質的に貧乏くじなのだ」と位置づけ、「負けが確定している作戦の指揮を執り、結果責任を取って退陣する。そこまでが有事の政権の職責だ」と述べている。

 ニュージーランドは3月26日から4週間のロックダウンに入った。アーダン首相(女性)が国民への説明を重ね、警戒レベルを最高の「4」まで順次引き上げた。国民の当事者意識も高まったという。それでも、収束後の経済回復に手間取れば、それが原因で退陣する可能性もある、とブログ氏はみている。

 小池知事の会見が、感染爆発なのか、その手前なのかを曖昧にする印象を与えていた点などを記事は批判しているが、リーダーの覚悟が問われるのは安倍晋三首相も同様、いや、より重大な責任が求められる。