安倍政権考

少子化大綱 衛藤担当相が厚労省と繰り広げた攻防

参院決算委員会で答弁する衛藤晟一氏=15日午前、参院第1委員会室(春名中撮影)
参院決算委員会で答弁する衛藤晟一氏=15日午前、参院第1委員会室(春名中撮影)

 政府の少子化対策の指針「少子化社会対策大綱」が閣議決定された。改定は5年ぶりで、安倍晋三首相が掲げる「希望出生率1・8」に向け、非正規労働者の待遇改善や不妊治療の支援拡充などの施策が並んだが、大綱を手がけた衛藤晟一(せいいち)少子化担当相の思い入れがとりわけ強かったのが育児休業(育休)中の所得を補償する育休給付金の拡充だ。しかし、財源を懸念する厚生労働省との調整は難航した。

 「経済的な事情で出産や子育てが不利にならない仕組みづくりが大事なんです」

 4月20日、衛藤氏は首相官邸の一室で向かい合う安倍首相にこう熱弁した。育休給付金の拡充の必要性を説く衛藤氏に首相は「そうだよね」と応じたという。

 男性の育休取得率は女性に比べて極端に低い。これを改善し、夫婦が協力して子育てに携わる環境を整備するのが衛藤氏の狙いだ。

 首相とのやり取りで、大綱に育休給付金に関する文言が盛り込まれることが決まったが、巨額の財源を必要とするため政府内の調整は一筋縄ではなかった。側近の一人は「(実現したのは)衛藤氏の執念だ」と明かす。

 育休給付金を大幅に引き上げ、子育て世帯を経済的に支援する-。衛藤氏の入閣前からの持論だったが、本腰を入れたのは昨年の人口動態統計で令和元年に国内で生まれた日本人の子供の数(出生数)が86万4千人と過去最少となり、政府内に「86万ショック」と衝撃を与えたことが大きい。衛藤氏は当時、「ここまでの数字になるとは思っておらず、驚異的な数字だ。相当思い切った手を打つことが必要だ」と危機感をあらわにした。

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