安倍政権考

香港政策批判声明「拒否」の真相 「中国に甘い欧州をこちらに引き寄せる」

20カ国・地域(G20)首脳会議の特別イベントを終え、トランプ米大統領(左)と握手を交わす安倍晋三首相。右は中国の習近平国家主席=昨年6月28日、大阪市住之江区(代表撮影)
20カ国・地域(G20)首脳会議の特別イベントを終え、トランプ米大統領(左)と握手を交わす安倍晋三首相。右は中国の習近平国家主席=昨年6月28日、大阪市住之江区(代表撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大、中国による香港への国家安全法制導入は、それ以前からの米中対立をさらに深めている。こうした中で飛び込んできたのが、中国の香港政策を批判する米国など4カ国の共同声明に日本が参加を拒否し、失望を招いたというニュースだ。共同通信が6月7日に報じた。

 自民党保守派の中には、対中強硬派であるはずの安倍晋三首相が中国に忖度(そんたく)しているのではないかという疑念が芽生えていたタイミングだった。政府が3月5日に新型コロナ対策として中国からの入国拒否を決断したのは、習近平国家主席の来日延期が固まるのと同時で、新型コロナ対策よりも日中関係を重視したという臆測を招いていた。

 乱れ飛ぶ解説を精査すると、中国への忖度とは正反対の動機が日本政府を駆り立てたようだ。

 米政府が4カ国共同声明に加わるよう打診したのは事実だが、日本政府が懸念したのは中国の反応ではなく、ドイツやフランス、イタリアの反応だった。トランプ政権の対中非難は過激化しており、欧州諸国が同調できなくなるとみられたからだ。

 これでは先進7カ国(G7)の足並みが乱れることになり、結果として中国を喜ばせることになる。それよりはむしろ、G7で入念な調整を行うべきではないか-。日本政府の働き掛けもあり、G7外相は6月18日、国家安全法制導入に「重大な懸念」を表明する共同声明を発表した。

■拒否する米政権

 中国の香港政策に限らず、米政府の対中非難は日増しに強まっている。5月に発表した報告書「中国に対する戦略的アプローチ」では、中国共産党が意図的に混同している事例として「法の支配と法による支配」「テロ対策と圧制」「代議政治と独裁政治」「市場競争と国家主導重商主義」を挙げた。

 それぞれ後者の「法による支配」「圧制」「独裁政治」「国家主導重商主義」が中国の実態で、米政府はこれを「拒否する」と宣言した。対立は単なるパワーゲームではなく、イデオロギー上の戦いともなり、米中関係は「新たな冷戦」の様相を濃くしている。

 日本も例外ではない。

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