朝鮮戦争70年

北に消えた拉致被害者9万5千人 家族が正恩氏を初提訴へ 

朝鮮戦争時に北朝鮮に拉致され、行方不明となった金箕貞さん(家族提供)
朝鮮戦争時に北朝鮮に拉致され、行方不明となった金箕貞さん(家族提供)

 【ソウル=桜井紀雄】朝鮮戦争は南北離散家族など数多くの悲劇を生んだが、韓国内でもほとんど注目されてこなかった北朝鮮の蛮行がある。韓国側から9万5千人以上が連れ去られたという戦時拉致問題だ。被害者家族が産経新聞の取材に応じた。現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権に解決に向けた意思は見られず、被害者家族は25日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を相手取った初の損害賠償訴訟に踏み出す。

 当時、ソウルの小学校に通っていた金在朝(ジェジョ)さん(79)は戦争勃発直後、近くのミアリ峠から北方に向かう韓国軍兵士らを拍手で送りだしたのを鮮明に覚えている。韓国軍はすぐに北朝鮮軍に押され、街中に銃声が響いた。ソウルは北朝鮮軍に占拠された。

 父、金箕貞(ギジョン)さん=当時(54)=は、日本に留学経験があり、故郷の中部、忠清南道(チュンチョンナムド)で鉱山を経営。日本統治からの解放後は自治体の責任者を務めた名士だった。北朝鮮が敵視する資本家として付け狙われるのは明らかで、夜中以外は自宅に立ち寄らないなど、身を隠していた。だが、自宅に入る姿を見た隣組の班長が北朝鮮側に密告した。

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