続・防衛最前線

華麗なブルーインパルスのシビアな裏側

6機編隊を基本とするブルーインパルス(航空自衛隊提供)
6機編隊を基本とするブルーインパルス(航空自衛隊提供)

 航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の任務は、一糸乱れぬ華麗なパフォーマンスを通じて空自の存在を広く周知することだ。5月29日に新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者に敬意と感謝を示すため、東京都心の上空を飛行したことは記憶に新しい。国民からの人気も高く華々しい存在だが、パイロットは防空の最前線に出る戦闘機乗りに勝るとも劣らない覚悟で臨んでいる。

 「新型コロナウイルス感染症の影響で航空祭をはじめとするイベントは軒並み中止になっていました。何かわれわれにできることはないかという思いはチーム全員が持っていたので、東京上空飛行が決まったときはうれしかったですね」

 こう語るのは今年6月までブルーインパルスの飛行隊長を務めた福田哲雄2等空佐だ。F15戦闘機のパイロットなどを経て平成29年から3年間ブルーインパルスに所属。現在は航空幕僚監部広報室で勤務している。

 飛行決定の喜びと同時に、責任の大きさも痛感していたという。

 「安全第一が絶対。万一にも事故や失敗をすれば、陸海空すべての自衛隊に大きなダメージを与えてしまう。ブルーインパルスはそれくらい影響力のある部隊なんです」(福田2佐)

 飛行当日、東京は晴天にも恵まれ、6機編隊のブルーインパルスは鮮やかな軌跡を描いた。医療従事者のみならず多くの人が空を見上げ、SNSなどでは称賛の声が上がった。

 福田2佐は「反響の大きさには驚きました。空を見上げる機会もなかなかない状況だと思うので、率直にうれしかったですね。飛行隊にも手紙が届き、それを読むと胸が熱くなりました」と振り返る。

 ブルーインパルスの正式名称は「第11飛行隊」で、宮城県松島基地の第4航空団に所属する。使用する航空機は「ドルフィン」の愛称をもつ国産の「T4」練習機。青と白のカラーリングがトレードマークだ。

 5月の飛行ではアクロバットは披露しなかったが、その美技は圧巻だ。