
安倍晋三首相が6月18日の記者会見で、敵のミサイル基地を攻撃して発射を抑止する「敵基地攻撃能力」保有の検討を表明したのは、唐突な思い付きではない。むしろ地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念の機をとらえ、長年の考えを実現しようと考えたのだろう。記者会見の前日には、周囲にこう語っていた。
「イージス・アショアがこうなったから、自衛隊の打撃力について正面から議論しようと思っている。国家の安全について徹底的に議論していきたい」
11年前の平成21年4月、第1次政権を終えて雌伏中だった安倍首相は自民党本部で開かれた会合で、同月の北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を踏まえ、こう述べていた。