外交安保取材

習近平国家主席の国賓来日 政府が「中止」と言わない理由を読む

中国の習近平国家主席を映す北京市内の大型ビジョン=5月(共同)
中国の習近平国家主席を映す北京市内の大型ビジョン=5月(共同)

 自民党や超党派の保守系国会議員らが今月、相次いで首相官邸に菅義偉(すが・よしひで)官房長官を訪れ、延期状態となっている中国の習近平国家主席の国賓としての来日について、中止を要請した。中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で中国海警局の船による挑発活動を続けていることや、「一国二制度」を形骸化させる香港国家安全維持法(国安法)を導入したことが主な理由だ。これに対し、政府は国賓来日の中止を明言していない。ただ、国会議員からの中止要求と政府の対応は、必ずしも背反するものではない。

 「尖閣周辺の領海侵犯(原文ママ)も80日以上継続しており、武漢発の新型コロナウイルスの状況もあり、とても日本人がもろ手を挙げて国賓として来日できる状況でない」

 香港情勢をめぐる対中非難決議案を議論した今月6日の自民党外交部会・外交調査会合同会議。出席した高鳥修一筆頭副幹事長は習氏の国賓来日をめぐって意見が続出したことをブログで紹介し、自らの考えも書き込んだ。

 「この状況で国賓として『天皇陛下と(習氏が)握手した写真』が世界に発信されるなどとても容認できないというのが普通の国民感情ではないでしょうか?」

 翌7日、自民党政調審議会は「党外交部会・外交調査会として中止を要請せざるを得ない」との表現を盛り込んだ決議を了承。中山泰秀外交部会長が8日に首相官邸を訪れ、菅氏に決議文を提出した。

 一方、超党派の保守系国会議員でつくる日本会議国会議員懇談会も7日、「習近平主席の国賓来日の中止を求める声明」を発表し、自民党の古屋圭司元国家公安委員長や日本維新の会の遠藤敬国対委員長ら同懇談会幹部が10日、菅氏に提出した。

 声明は、中止を求める理由として、中国政府が新型コロナウイルスの感染拡大の責任を認めていないことや尖閣周辺海域での主権侵害行為、香港の「高度な自治」を否定する国安法の導入などを列挙した。

 菅氏は決議と声明を受け取った際、それぞれ「真摯(しんし)に受け止める」と伝えたが、「中止」とは明言しなかった。習氏の国賓来日に反対する立場からすると、不満が残るところだろう。

 ただ、習氏の国賓来日をめぐる日本政府要人の発言はこの間、かなり変化した。

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