安倍政権考

秋の「解散風」は収束へ 続くコロナ禍 狭まる選択肢

閣議に臨む安倍晋三首相(中央)と麻生太郎副総理兼財務相(右)=11日午前、首相官邸(春名中撮影)
閣議に臨む安倍晋三首相(中央)と麻生太郎副総理兼財務相(右)=11日午前、首相官邸(春名中撮影)

 衆院解散・総選挙の時期をめぐり、早ければ今秋とされていた「解散風」が急速に収まりつつある。新型コロナウイルスの感染が全国で再拡大し、政府・与党幹部から否定的な見解が相次いでいるからだ。安倍晋三首相の自民党総裁任期切れが来年9月、衆院議員の任期満了が同10月にそれぞれ迫る中、首相は慎重に解散時期を見極めているもようだ。

 早期解散説が駆け巡ったのは、首相と麻生太郎副総理兼財務相が6月に3度も2人きりで会談したことが発端だった。

 「首相の手で、憲法改正はしないんですか」

 党関係者によると、6月10日、首相官邸に安倍首相を尋ねた麻生氏はこう問いかけ、憲法改正の実現のために早期解散を決断するよう説得したという。首相はその言葉にはっと顔を上げたというが、解散の実施の是非について言質を取らせることはなかったとされる。

 麻生氏が早期解散を主張するのは、秋以降にずれこむと、衆院選の結果が2つの「外的要因」に大きく左右される可能性があるからだ。