もう謝罪国家には戻らない 安倍首相の戦略的歴史観  八木秀次

記者会見で辞意を表明した安倍晋三首相=8月28日午後、首相官邸(春名中撮影)
記者会見で辞意を表明した安倍晋三首相=8月28日午後、首相官邸(春名中撮影)

 安倍晋三政権が、国内では疑惑を野党やメディアから追及されながらも、安定していた理由の一つに、安倍首相が国際社会の中で次第に大きな存在になったことがある。在任期間が長くなったこともあり、国際社会、特に自由主義陣営に不可欠のリーダーになっていた。それが国民に大きな安心感を与えていた。辞任の報を受けた外国首脳は概ね安倍首相を「いなくなると困る」と功績を高く評価した。外国メディアも国内とは対照的に高く評価するものが多かった。

韓国の言いがかりを振り払う

 第2次安倍政権発足からしばらくは、安倍首相は外国から警戒の目で見られていた。米国メディアは「国家主義」「歴史修正主義」のレッテルを貼り、中国の官製メディアはヒトラーと同一視した。第1次政権時に打ち出した「戦後レジームからの脱却」が誤解されたこともあり、戦後の国際秩序への挑戦者と思われていた。政権発足1年目の2013年12月に靖国神社に参拝した際、米国政府は「失望した」とのコメントを発表した。私も米国大使館の政務担当公使から参拝の理由について説明を求められた。

麗澤大教授の八木秀次氏
麗澤大教授の八木秀次氏

 しかし、その批判の声は、今は消えている。安倍首相への警戒感がなくなり、逆に安倍首相は自由社会のリーダーと見られるようになった。それと同時に対日認識も変わった。日本自体への警戒感がなくなり、外交や安全保障でも日本の主張や政策は受け入れられるようになった。そこには安倍政権の対日歴史認識是正の戦略があった。

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