尖閣衝突事件10年

尖閣衝突10年 語られる真実

「尖閣ビデオ流出」インターネットに流出した、中国船衝突事件のものと見られるビデオ(ユーチューブから)
「尖閣ビデオ流出」インターネットに流出した、中国船衝突事件のものと見られるビデオ(ユーチューブから)

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生してから7日で10年が経過した。中国人船長の逮捕、中国の報復、「外交配慮」に基づく処分保留での勾留満期前の船長釈放、衝突時の映像流出と異例ずくめの事件の経緯と教訓を検証した。(肩書は当時、敬称略)

 ■事件発生 「本船に衝突 そのまま逃走」中国漁船追う

 平成22年9月7日午前9時すぎ、海保の巡視船「よなくに」が尖閣諸島・久場島沖の領海内を航行する中国の漁船「●(門がまえに虫)晋漁(びんしんりょう)5179」を発見した。領海内の航行は違法行為とはいえ、珍しいわけではなかった。

 だが、この日は違った。よなくにが領海から退去するよう警告したところ、漁船は逃走。そして午前10時15分ごろ、「グォーーン」という鈍い金属音を立てて船尾に突っ込んできた。

 「本船に衝突!」「そのまま逃走している!」