耳目の門

(25)特別記者・石井聡 総裁選余話 青年局長は何に負けたか

小林史明氏
小林史明氏

 始まる前に戦いは終わっていた。そんな自民党総裁選が妙味を欠いたのは言うまでもない。安倍晋三前首相の辞任による緊急事態だった事情はあるにせよ、「政治空白は許されない」の掛け声とともに、党の大どころが素早く菅義偉首相による後継に動き、何をやりたいかも聞かずに主要派閥が相次いで乗っかる。当確候補は安倍路線の継承を掲げ、ダイナミックな政策論争とも無縁だった。

 そうした中でも記憶に残ったエピソードとして、党員投票を伴う本格的な総裁選を求め、若手議員らが立ち上がったことを改めて挙げておきたい。

 留任した二階俊博幹事長ら前執行部が、両院議員総会での決着による方向性を打ち出したのに対し、若手議員ら約150人が全党員投票を伴う正規の総裁選実施を求める署名を集めて執行部に提出した。この数は「誰を勝たせたい」という意図とは無関係な動きだったことも示している。彼らは総務会でも主張を展開し、議論は2時間近くに及んだが、既定方針は覆らなかった。