石破茂氏はこのまま沈むのか 安倍政権反目路線の是非 覆面記者座談会(下)

自民党総裁選の投開票を控え、選挙戦を振り返る石破茂元幹事長=14日午前、東京都港区(奥原慎平撮影)
自民党総裁選の投開票を控え、選挙戦を振り返る石破茂元幹事長=14日午前、東京都港区(奥原慎平撮影)

 自民党の石破茂元幹事長は、なぜ9月の総裁選で最下位に沈んだのか。歴代番記者による覆面座談会「下」では、石破さんが安倍晋三政権への批判を重ねた是非などを検証し、今後のあるべき姿を探る。少子高齢化に向かう日本への処方箋として、緻密な地方創生策などを提唱していたが、こうした政策が日の目をみるためには、どうしたらいいのか。

「この数年間、石破さんは安倍政権に反目し続けた。それには2つ理由があると思う。1つは、双方が生理的なまでに互いを嫌っていたからだ。安倍さんは石破さんが安全保障担当相の就任要請を断った後、政府や党で徹底的に干し上げた。反比例するように、石破さんも野党のような言いぐさで安倍さんの批判を繰り返した。もう1つは、『自民党には常に2つの軸がなければならない』という理念に基づくものだ。軸の片方が倒れた時に、もう片方が出てくる態勢がないと、総選挙で敗れ、一気に政権を野党に奪われかねない-という考えだ。自民党で『疑似政権交代』を起こすため、あえて反目し続けたが、これは嫌われた。党内でも、実は安倍さんに本当に近い勢力は少数だが、それでも大半の自民党の議員は、政権を維持するため時に異論を胸に秘めても協力してきた。『石破だけいい恰好しやがって』というやっかみを何度も聞いた」

「自民党は平成24年に政権を奪還し、石破さんはしばらく幹事長として安倍さんを支えた。その間反目路線はなかった。『自民党のいいところは、民主党と違い、一度決まったことに従うことだ』が口癖だった。幹事長を外れたあたりから、自分を抑えられなくなったということか。自分の主張をするにしても抑えたり、言い方に気を付けたりしていれば、『安倍さんと毛色は違うが、ちゃんと自民党を支えようとしている』と見られたはずだ。でも完全に反目するように映ったので、党内で『なんだあいつは』となった」