外交安保取材

三文芝居の動画が物語る自衛官不足 地上イージス断念で浮き彫りに

海上幕僚監部広報室がユーチューブに投稿した「広報作戦会議」の動画(「防衛省海上自衛隊公式チャンネル」より)
海上幕僚監部広報室がユーチューブに投稿した「広報作戦会議」の動画(「防衛省海上自衛隊公式チャンネル」より)

 海上幕僚監部広報室が動画投稿サイト「ユーチューブ」に「広報作戦会議」と題した動画を公開している。どうやって海自をPRするか、現役の海上自衛官が話し合う様子を収めた内容で、三文芝居ぶりが「おもしろい」と話題に。ただ、動画の背景には笑い事では済まされない深刻な課題が潜んでいる。

 「作戦会議」では、新型コロナウイルス感染拡大で公開イベントの多くが中止され、PRの機会が減る中、海自が「日本初の制服系公務員ユーチューバー」として活動を始めることを決定。海上自衛官が棒読みのセリフ、大げさな演技を披露している。

 もちろん笑いを誘うための意図的な演出だが、国防を担う自衛官が懸命にPRにいそしむのは、慢性的な定員割れに悩まされているからだ。

 6月15日、人手不足の問題の根深さが表面化した事案が起きた。河野太郎防衛相(当時)が、地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア(地上イージス)」の配備計画を中止すると発表した一件である。

 最も衝撃を受けたのは海自だった。