
政治生命をかけた大阪都構想が頓挫(とんざ)し、政界から身を引くと表明した大阪維新の会代表、松井一郎大阪市長は、何と戦ったのだろうか。自民や共産などの反対派か、それとも住民説明会の足かせになった新型コロナウイルスか。松井氏の前に立ちはだかったのは、そのどちらでもない、都市の「老い」だったのではないかと感じている。
投票日当日の投票所で産経新聞社が実施した出口調査で、興味深いデータがある。10~40代の各世代では賛成がほぼ上回ったが、50代で拮抗(きっこう)、60代、70代以上で反対の割合が大きく増加していた。
それを裏付けるように市内24区ごとに見ると、高齢者が多い区が、反対多数となる傾向がみられた。
大阪市の「廃止」「解体」「消滅」という都構想のネガティブな側面を強調した反対派の主張は、とりわけ高齢者の投票行動に影響を及ぼしたのだろう。